日レ医誌(JJSLSM) 第21巻第3号(2000)

可変式Ho:YAGレーザー装置の泌尿器科領域における有用性の検討

日本大学泌尿器科
吉田 利夫、山崎 利彦、野垣 譲二、石田 肇、岡田 清己
 
目的) パルス幅可変式Ho:YAGレーザー装置を用い、そのパルス幅による特性を検討し、泌尿器領域疾患で
ある、尿路結石、前立腺肥大症、膀胱腫瘍に対しての治療における至適波長、あるいは照射パラメータの検
討を行う。
方法) パルス幅可変可能なHo:YAGレーザー装置であるSPHINX Ho 40を用い、パルス幅ごとに発生エネルギ
ーと衝撃波の強さを測定し、結石モデルにおける砕石効果を検討し、更に熱作用を計測した。さらにラット腎組
織に照射を行い、その反応を観察した。そして臨床例における治療において、その安全性を検討した。
結果) パルス幅における衝撃波の強さは短パルスなほど強く、砕石実験においてもパルス幅が短いほど砕石
効果がすぐれていた。熱作用に関してはそうエネルギー量が同じであれば、同程度の効果であった。腎組織
の照射においては、より長パルス幅の方が熱作用が強く確認された。臨床例における使用は結石の治療に
おいて短パルス幅の使用でも問題となる組織障害も無く、有効且つ安全に砕石が可能であり、止血を目的と
した照射においては長パルス幅の照射と切り替えが可能であり有用であった。