日レ医誌(JJSLSM)第21巻第3号(2000)

ESWL無効症例に対するホルミウムヤグレーザーを用いた経尿道的尿路結石砕石術の経験

東京大学医学部泌尿器科
太田 信隆、村田 太郎、永田 政義、有賀 誠司、土井 直人、富田 京一、蓑和田 滋、北村 唯一
 
一尿路結石症の外科的治療における第一選択は対外衝撃波砕石療法(ESWL)であるが、ときにESWL抵抗性
の結石が認められる。このような結石ではすみやかに他の療法に変更しより確実、短期間の治療を行うべき
である。今回、われわれはESWL無効療法例5例に対しホルミウムヤグレーザー装置を用いた経尿道的尿路
結石砕石術を行い良好な結果を得たので報告する。
【対象および方法】 対象は男3例、女2例で、腎結石2例、尿管結石3例であった。術前治療としてESWLを2〜4
回行い、50%以上の縮小を得られなかった症例である。内視鏡は腎盂尿管ファイバースコープURF-P3(オリン
パス)を用い尿管に直接挿入した。砕石はホルミウムヤグレーザーであるバーサパルスセレクト80/100(コヒレ
ント社)に365ミクロンのレーザー導光ファイバーを組み合わせて使用した。
【結果】 5例中1例はレーザー導光の断線により、内視鏡の損傷をきたし手術を中止した。手術を最後までおこ
なえた残る4例では、前例4mm以下まで砕石された。手術時間は20〜45分であり、ステント留置は不要であ
った。術中、術後合併症は認めなかった。
【結果】 今回使用したホルミウムヤグレーザー、バーサパルスセレクト80/100は注意深い取り扱いを要するも
のの、強力な砕石能力を有し、ESWL無効結石に対し有用であると考えられた。