日レ医誌(JJSLSM)第21巻第3号(2000)

各種泌尿器科疾患に対するホルミウムヤグレーザー(Ho:YAG)の使用経験

日本医科大学泌尿器科
清水 宏之、坪井 成美、堀内 和孝、秋元 成太
 
[目的] Ho:YAGレーザーは軟部組織から硬組織まで使用可能な汎用レーザーとしての利便性を有し応用範囲
がきわめて広い。我々は尿路狭窄、腎盂尿管腫瘍、難治性結石および膀胱結石等に対しHo:YAGレーザーを
用いた各種治療を行っており、その使用経験について報告する。
[対象と方法] 1999年7月より2000年6月までの間に当科を受診した腎盂尿管移行部狭窄6例、尿管狭窄2
例、尿道狭窄1例、腎盂尿管腫瘍3例、膀胱結石2例、腎結石(シスチン結石)1例、尿管結石1例を対象とした。
腎盂尿管腫瘍はendoluminal ultrasonography (ELUS)にて術前T1以下を診断した表在性腫瘍のみを対象とし
た。レーザー発生装置はCoherent社製Versa Pulse Select最大出力80W、ファイバーは同社製Slim Line 
365umを、ELUSはオリンパス社製メカニカルラジアル型細径超音波プローブを使用した。
[結果と考察] 尿路狭窄に対しては1例(尿管ポリープ)で早期に再手術を要したが、おおむね結果良好で手術
手技的にも比較的容易で、切開そのものは短時間で施行し得た。腎盂尿管腫瘍については観察期間が短く
有用性についての結論は今後の検討を待ちたい。結石については他の砕石装置と比較しても遜色ない砕石
効果が得られた。前例大きな合併症もなく安全に試行可能であった。
[結語] 泌尿器科内視鏡手術におけるHo:YAGレーザーの有用性は高く、さらに症例数を増やして報告したい。