日レ医誌(JJSLSM) 第22巻第3号

Ho:YAGレーザーの泌尿器科領域への応用

札幌社会保険総合病院泌尿器科1)、札幌社会保険病院総合病院ME部2)、札幌社会保険総合病院外科
3)、市立釧路総合病院泌尿器科4)
○三橋公美1)、佐野 洋1)、真下 泰2)、佐野文男3)、福澤信之4)
 

1.はじめに
我々は2000年4月のホルミウム・ヤグ(Ho:YAG)レーザー購入に伴い泌尿器科手術に利用したので報告する。
2.対象および方法
当科において2000年6月から2001年9月までの15ヶ月間に、尿路結石28例(上部尿路結石26例、下部尿路
結石2例)、尿路上皮腫瘍4例(腎盂腫瘍2例、尿管腫瘍1例、膀胱腫瘍1例)、腎盂尿管移行部狭窄1例、腎出
血(微小血管種)1例、膀胱出血1例の計35例に対してレーザーを使用した。
対象症例
期間:200年6月〜2001年9月(15ヶ月間)
症例:35例
1)尿路結石 28例
・上部尿路結石 26例
・下部尿路結石 2例
2)尿路上皮腫瘍 4例
・腎盂腫瘍 2例
・尿管腫瘍 1例
・膀胱腫瘍 1例
3)その他軟部組織
・腎盂尿管移行部狭窄 1例
・腎出血(微小血管種) 1例
・膀胱出血(膀胱潰瘍) 1例
使用機器はレーザー発生装置としてバーサパルスセレクト、レーザーファイバーとして、スリムライン500μmと
365μm(いずれもコヒレント社)を用いた。
3.結果
@尿路結石
 腎盂、尿管結石に対するHo:YAGレーザーによる経尿道的砕石術(TUL-laser)は、腎盂結石1例、尿道結石1
例、尿管結石25例に行った。内視鏡は、男性では中部尿管までの結石、女性では腎盂までの結石に対して
は硬性腎盂尿管鏡を、それ以外では、軟性腎盂尿管鏡を使用した。レーザーファイバーは365μmを使用し、
照射エネルギーは、0.51J/5Hz(2.5W)に設定した。
腎盂尿管移行部結石が一部腎盂に押し上げられ体外衝撃波砕石を施行した以外は、すべての結石が完全
に破砕された。
 膀胱結石は2例行った。レーザーファイバーは500μm使用し、照射エネルギーは、2.4J/25Hz(60W) まで出
力を増強することができるので、初回の段階で協力に破砕し、結石が小さくなったところで出力を落として破砕
した。
A尿路上皮腫瘍などの軟部組織
 腎盂腫瘍2例、尿管腫瘍1例、膀胱腫瘍1例に対しては、いずれも生検鉗子にてバイオプシーをしたあとレー
ザーで凝固を行った。腎盂尿管移行部狭窄には、軟性腎盂尿管鏡下に、365μmのファイバーを使用し、0.8J
/20Hz(16W)で狭窄部を切開し、尿管ステントを留置した。膀胱出血の 1例はハイリスク症例であったので、無
麻酔下にレーザーで凝固を行った。
4.尿路結石に対する経尿道的破砕はリソクラスト、パルス波色素レーザー、電気水圧衝撃波、超音波などが
あるが、Ho:YAGレーザーが最も利用しやすいと思われた。
 軟部組織に対するレーザーの使用は、ハイリスク症例など症例を選んで行えば有効な方法であろうと思わ
れた。