日レ医誌(JJSLSM) 第22巻第3号

外傷性尿道狭窄に尿道ステントを留置後、ステント内腔に発生した瘢痕性狭窄に対する
Ho:YAGレーザーの使用経験

仙台市立病院泌尿器科、自衛隊仙台病院泌尿器科、東北大学泌尿器科
○金藤博行、今井克忠、星清継、池田義弘、中川晴夫、庵谷尚正
 

外傷性尿道狭窄に対し尿道ステント留置後、ステントのメッシュの間隙から尿道内腔に増殖する肉芽組織に
より狭窄を来たすため、Ho:YAGレーザーによる手術を行った症例を経験した。
 症例1. 20歳、男性.交通事故による尿道断裂にて膀胱瘻造設.7ヶ月後内視鏡的に狭窄部を切開拡張した
が、再狭窄のため尿道ステント(ウロルーメ)留置した。3ヵ月後ステント部位の肉芽組織による狭窄が出現、小
児用resectoscopeを用いて肉芽組織の切除を行ったが再狭窄を来たすため、Ho:YAG レーザー(Varsa Pulse 
Select)を用いて肉芽組織の蒸散を行った。術後1年排尿障害は見られない。
 症例2. 55歳、男性.道路側溝に転落、尿道断裂にて膀胱瘻造設。4ヵ月後内視鏡的に狭窄部の切開拡張を
行ったが、再狭窄を繰り返すため尿道ステント(ウロルーメ)留置。 4ヵ月後ステント部の肉芽組織による狭窄が
生じ、排尿困難をきたしたため、Ho:YAGレーザーにて瘢痕組織を蒸散した。術後6ヶ月瘢痕組織の残存を認め
るが排尿障害はなく経過観察中である。
 いずれの症例もHo:YAGレーザーによって尿道ステントを破損することなく肉芽組織を蒸散でき、良好な結果
が得られた。