日レ医誌(JJSLSM)第21巻第3号(2000)

当科におけるHo:YAGレーザーの使用経験 -その有用性と問題点-

岡山大学医学部泌尿器科
門田 晃一、公文 裕己
 
【目的】内視鏡の細経化と、それに伴うレーザーなどの手術エネルギーの応用は、内視鏡手術の適応拡大に
大きく貢献している。今回、当科における使用経験をもとに、Ho:YAGレーザーの有用性と問題点を検討した。
【対象】当施設では1996年よりVersaPulseSelect(コヒレント社)を導入し、尿路内視鏡手術に使用している。対
象疾患は上部尿路上皮腫瘍7例、尿路狭窄12例、後部尿道弁1例、出血性膀胱炎2例、尿路結石11例であ
り、手術内容は、内視鏡的腫瘍蒸散術7例、Endopyelotomy 2例、Endoureterotomy 3例、Endourethrotomy 
7例、尿道弁蒸散術1例、経尿道的膀胱出血止血術2例TUL 9例、PNL 2例であった。
【結果・考察】尿路上皮腫瘍症例では、再発例を認めるものの尿路狭窄等の術後合併症を認めなかった。尿
路狭窄では腎盂尿管移行部狭窄症2例のうち尿管ポリープを合併した1例で水腎症の改善を認めず開腹手術
に移行した。残りの1例は改善を認めた。尿管狭窄では3例中2例で経過障害の改善を認めた。尿道狭窄のう
ち尿道断裂術後などの難治症例4例中2例に再発を認めたが、初発例3例では再発を認めなかった。乳児の
後部尿道弁に対し経尿道的蒸散術を施行し、術後2年で経過は良好である。尿路結石では、すべての症例で
治療効果を認めた。Ho:YAGレーザーは多くの尿路内視鏡手術で使用可能であり、特に細径内視鏡や軟性鏡
を使用する場合でその有用性は高いと考えられる。しかし、プローブのコントロールや気泡発生による視野障
害などその使用にはある程度の熟練が必要である。また尿路狭窄症例などでは必ずしも満足な治療結果を
得られなかった。個々の症例を詳細に解析することで、Ho:YAGレーザーの有用性と問題点をさらに検討する
予定である。