第89回 日本泌尿器科学会総会 プログラム

上部尿路疾患に対する経尿道的内視鏡下ホルミウムレーザー治療

聖隷三方原病院
麦谷 荘一、佐藤 崇、永田 仁夫、海野 智之、永江 浩史
 
【目的】上部尿路疾患に対する経尿道的細径尿管鏡下ホルミウムレーザー治療の適応と限界について検討し
た。
【対象及び方法】1996年7月より現在までに、経尿道的内視鏡下にホルミウム・レーザーを用いて治療した上
部尿路疾患150症例を対象とした。症例の内訳は尿管結石114例、腎結石17例、腎杯出血6例、尿管狭窄5
例、尿管ポリープ5例、腎盂腫瘍3例であった。使用した内視鏡は6.9〜7.5軟性腎盂尿管鏡と6.9F硬性尿管鏡
であった。
【結果】結石症例前例において破砕に成功し、完全排石を認めた。腎出血6例とも術後血尿が消失した。従来
のレーザーファイバーでは到達できなかった病変部位(下腎杯)が細径レーザーファイバー(200ミクロン)の登場
で治療可能となった。尿管狭窄、ポリープ症例ではレーザーファイバーが従来より細径化したため、より良好
な視野が得られ十分な切断が可能であった。腎盂腫瘍3例中2例は腫瘍の蒸散・切除が可能であったが、他
の1例は多発腫瘍(3cm)のため本法を2回施行したが腫瘍は残存し、術後17ヶ月目に癌死した。
【結語】上部尿管病変の治療に対して経尿道的細径内視鏡下ホルミウムレーザー治療は安全で有用な治療
法であると考えられた。悪性腫瘍に関しては、単発、小腫瘍、非侵潤性以外では、根治性に関しては限界が
あるものと考えられた。