日レ医誌(JJSLSM)第21巻第3号(2000)

Ho:YAGレーザーによる尿路結石治療

久留米大学医学部泌尿器科
松岡 啓、野田 進士
 
【目的】Ho:YAGレーザー(Ho)は、硬・軟両組織に使用できる汎用レーザーとして各科領域に普及しつつある。
泌尿器科においても、尿路結石、尿路狭窄、尿路腫瘍に応用され、その有用性に関して報告されている。わ
れわれは、このレーザーを経尿道的内視鏡治療(TUL)に使用し、従来の結石治療レーザーであるパルス波色
素レーザー(PD)と比較したので報告する。
【対象と方法】過去8年間に248名の尿路結石患者に261回の内視鏡下レーザー破砕術施行した。尿管結石
患者221名、膀胱結石患者27名で尿管結石に対してはPDによる破砕を146回、Hoによる破砕を88回、膀胱結
石にはPDによる破砕を10回、Hoによる破砕を17回施行した。内視鏡は半硬性腎盂尿管鏡(6F、7.2F)と軟性腎
盂尿管鏡(7.3F、9.9F)、硬性腎盂鏡(26F)を使用した。治療成績は、6週間後のX線で排石と残石サイズを測定
し、残石なしか4mm以下の残石を有効、5mm以上を無効とした。またレーザー治療後、他の結石治療手段を
講じた例はすべて無効とした。
【結果】Hoでは全例で破砕可能で、PDでは6回において破砕不能であった。尿管結石においては6週間後の
成績ではHoで92%、PDで83%の有効率であった。結石が上方へ移動するプッシュアップ率はHoで9%、PDは
24%であった。合併症として尿管をPDで2回(1.4%)、Hoで3回(3.4%)経験した。
【結語】Hoによる結石治療は、すべての成分の破砕が可能で、臨床的有用性もPDに比較し優れていた。破砕
片は他の手段よりも小さく、プッシュアップ率も低い。しかし、その使用に当たってはレーザーファイバーの先端
を粘膜に接触させないよう十分注意を払う必要がある。