日レ医誌(JJSLSM)第21巻第3号(2000)

Ho:YAGレーザーによる衝撃波現象の可視化

東北公済病院・泌尿器科 棚橋 善克、喜屋武 淳、畠山 孝仁
東北大学・流体科学研究所 高山 和喜、平野 孝幸
 
我々はより低浸襲の手術を行う目的で、平成6年からHo:YAGレーザーを用いた泌尿器科疾患の内視鏡的治
療を行っている。
Ho:YAGレーザーによる治療効果には、砕石術のみならず前立腺肥大症などの軟部組織に対する治療におい
ても、熱作用だけでなく衝撃波が関与しているものと考えられる。そこで、本シンポジウムでは、Ho:YAGレー
ザーによる衝撃波の発生を可視化することを試みた。
アルゴンイオンレーザー光によるシャドウグラフ法を用いた高速度撮影では、レーザー入射後約0.05μS後に
プラズマが形成され球面波が発生することが確認された。その速さはマッハ1.06-1.07であり、衝撃波である
ことが確認された。また、圧力波形でも最大過剰圧は6Mpaを越えており、衝撃波の通過時に高い圧力が加わ
っている状況が観察された。その後10μSから500μSの間に気泡が発生・消失した。それを臨床の場合に当
てはめて見ると、軟部組織では衝撃波で切開、気泡で剥離が行われ、尿道結石では衝撃波で亀裂、気泡で
砕石がなされていると考えられる。