1)結石への到達
結石に対するアプローチはTULが33例、PNLが5例であった。TUL症例の結石サイズは平均7×12mm(2〜
12×3〜20mm)で、PNL症例のそれは平均16×23mm(11〜20×18〜30mm)であった。
2)照射エネルギー
パルス毎照射エネルギーは同一患者においても0.5〜1.0Jまで変更した例もあったが、約2/3の症例では
0.5Jであった。またパルスレートも5〜10P/Sまで変更したが、同様の症例においては5P/Sで砕石力は十
分であった。
使用したHo:YAGレーザーの合計照射エネルギーの平均は1.98KJ(0.07〜9.75KJ)で、TUL症例では平均
1.87KJ,PNL症例では平均2.7KJの合計照射エネルギーとなった。
3)直接的結石破砕効果
術直後または数日後の結石破砕効果は、38例のうち5mm以上の残石を認めたのは6例で、32例(85%)に
おいて臨床的な結石破砕効果を認めた。ただし、5mm以上の残石を呈した6例においても、5例は結石破砕中
に腎内にPush up されたので、残りの1例はサイズの大きな腎結石症例のため、いずれも結石に対するレー
ザー照射をあえて中断した症例であり結果的には全例で結石破砕効果が得られた。
結石成分については27例で判明した、すなわち蓚酸カルシウム・燐酸カルシウムの混合結石が19例で多
く、蓚酸カルシウム結石4例、燐酸カルシウム結石1例、燐酸マグネシウム・アンモニウム結石2例、シスチン
結石1例であった。
よって、これらの結石成分については全例に破砕効果があった。
4)治療効果判定
レーザー照射後6週目における残石の有無による治療効果では、38例中3mm以上の残石を認めた例は5例
(13%)であり、治療効果は33例(87%)に得られた。残石5例のうち4例は5mm以下の結石である。また1例
は5mm以上(5x6mm)の残石であったが、3ケ月後に自然排出した。
5)合併症
初期の2例(第5例目と第11例目)においてレーザー使用によると考えられる尿管損傷を経験した。第5例目
は尿管粘膜の白色状変化と一部尿管壁の穿孔で、第11例目は尿管口部の穿孔であった。これら2例の穿孔
部は尿管ステントカテーテルを約1週間〜2週間留置することにより尿管狭窄をきたすことなく自然に治癒し
た、他にHo:YAGレーザー使用によると思われる合併症を経験しなかった。また術後の血算、化学的検査に
おいても、術前と比較して何ら変化を認めなかった。
|