前立腺肥大症のHo:YAGレーザーによる治療

東北公済
棚橋善克、坂井清英
 
目的】前立腺肥大症の治療として、最近Nd:YACレーザ(波長1064nm)による治療が普及しつつある。
しかし、Nd:YAGレーザーによる焼灼では、凝固、壊死範囲を術中に判断することがむつかしく、十分な効果を
期待しようとすると、被膜穿孔の危険が生じる。
そこで、こりような隘路を解決するため、水中での減衰が大きく凝固壊死範囲の同定が容易なHo:YAGレーザ
ー(波長2080nm)を用いて、前立腺肥大症の内視鏡的治療を試みた。
【対象と方法】Ho:YAGレーザーによる治療は15例(平均年齢69.2才)に行い、その成績を“Nd:YAGレーザー
による治療34例(平均年齢69.7才)と比敦した。
用いたHo:YAGレーザー発生装置は、出力20W、発振パルス10/secで、導光系にはコア系600μm、外径1.
4mmの側射型石英ファイバーを用いた。先端出力は15〜20Wとし、照射は前立腺の大きさに応じて、全周照
射、ランニング照射、あるいはこれらの組み合わせで行った。
【結果】術前および術後3ヵ月の最大尿流量は、7.6±7.5ml/sec,24.5±14.6m1/secであり、Nd:YAGレー
ザーによる治療の6.5±1.9ml/sec,15.8±6.6ml/secに比べて、良い結果を示した。また、カテーテル留置
期間も、Nd:YAGレーザーの6.9±1.9日に対して、3.4±1.8日と短期間で済んでいる。
【まとめ】Ho:YAGレーザーによる前立腺肥大症の内視鏡的治療は、Nd:YAGレーザーによる方法にくらべて、
安全性がたかく、カテーテル留置期間も短く。これからの前立腺肥大症冶療の主流になる可能性を秘めてい
ると思われる。