日レ医誌(JJSLSM)第20巻第3号(1999) 

TURPを超える前立腺肥大症治療の検討 −ホルミウムレーザーによる前立腺切除− 

久留米大学医学部泌尿器科  松岡 啓 

<目的>
 経尿道的前立腺切除術(TURP)は、前立腺肥大症に対する確立した手術療法として施行されてきた。しか
し本療法も種々の問題点があるので新しい術式が開発されてきた。当科においては、ホルミウムレーザーを
前立腺切除に使用し良好な結果を得て、現在TURPを超える成績を得るための検討を行っているので報告した
い。 

<対象と方法>
 対象となった患者は107名で、このうち11名はNd:YAGレーザーとホルミウムレーザーを併用したCELAP、他
の96名はホルミウムレーザーのみを使用するHoLRPである。CDLAPは前立腺をNd:YAGレーザーで凝固し、そ
の後ホルミウムレーザーで蒸散・切除した。HoLRPではホルミウムレーザーのみで蒸散・切除した。 

<結果>
 CDLAPは術後1年までの自他覚的症状の改善を認めたが、述語早期の成績が芳しくなかった。HoLRPでは
術後1週目より自他覚的所見の改善が認められ、最長36ヶ月まで持続している。HoLRPでは尿道前立腺部に
TURPと同様の空洞が形成された。手術時間、切除重量、出血量、術後カテーテル留置期間を両者で比較す
ると、手術時間のみがTURPに劣り、出血量やカテーテル留置期間はTURPよりも少量で短かった。 

<結語>
 レーザー出力、ファイバーのsizeなどにより手術時間の短縮や操作性の向上をめざして検討中であるが、解
決されればHoLRPはTURPに対して優位な術式となろう。