日レ医誌(JJSLSM)第21巻第3号(2000)

スポーツ医学におけるレーザー治療-肩関節鏡-

湘南鎌倉総合病院
岩田 修
 
目的) 当院で行ったLACS(Laser-Assisted-Capsular-Shift)の成績を報告し、その適応について考察する。
対象) 16例に対してLACSを行った。投球肩障害9例、動揺性肩関節症5例、肩関節亜脱臼2例
方法) レーザーの設定を1.0J×10Hzとして前方穿刺より30度のハンドピースを挿入する。関節包を3時の方向
から7時の方向までレーザーを照射する。投球障害肩では、2時から5時方向のLACSを行う。術後は10日間の
三角巾固定を行う。
結果) 投球障害肩は術前73点が術後3ヶ月で96点に改善し、調査時も96点と高得点を維持していた。一方、
動揺肩は術前59.5点が術後93.2点に改善したが、調査時は再発を5例中4例に認め、スコアは76.7点に下が
っていた。また、肩関節亜脱臼は術前51点が術後3ヶ月で74点とやや改善したが1例は不安定性が続くため、
再手術を行った。
結語) 投球肩のようにくりかえすminor traumaによるunidirectinal insabiltyに対しては良好な成績であった
が、先天的なmultidirectional insabiltyでは一時的に改善するも、5例中4例に再発があった。軽微な不安定
性のためにおきたposteosuperior internal impingementが投球傷害肩の原因とすると、その結果である関節
唇損傷のみを治療してもよい結果は期待できず、不安定性を治療しなければならない。このような軽微な不安
定性に対してLACSは有用と考えられ、今回の調査でも満足できる成績が得られた。