日レ医誌(JJSLSM)第21巻第3号(2000)

レーザーを用いた鏡視下半月板手術の検討
千葉大学医学部整形外科
和田 佑一、守屋 秀繁
 
目的; スポーツは今日において老若男女が楽しむものであり、多くの人にとって生活から切り離せないものに
なっている。しかし、スポーツの普及に伴いスポーツ障害の増加が問題となってきた。スポーツ障害の中でも
代表的な膝の半月板損傷にたいして、レーザーを用いた関節鏡手術が普及しつつあり、今回我々はその臨床
成績につき報告する。
対象と方法; 半月板縫合術の適応とならないすべての関節鏡視下半月板手術を適応とした。すなわち内側半
月板損傷、外側半月板損傷、外側円板状半月、半月板嚢胞、半月板変性断裂等である。レーザーを用いた
鏡視下半月板手術症例は1992年1月より181例であった。機種は、コヒレント社製VersaPulse、Ho-YAGレー
ザーを使用している。
結果; 術後平均1年で術後成績は、日整会の半月損傷治療成績判定基準(JOA)によると術前平均51.2点、術
後平均95点であった。同時期にレーザーを用いず行った鏡視下半月版手術の術後成績(79例)平均93点とほ
ぼ同等の結果であり十分満足のゆくものであった。平均手術時間はレーザーを用いた例で平均48分、レーザ
ーを用いない例で平均55分であった。レーザーに特有と思われる副作用は経験していない。
結語; 鏡視下半月板手術にレーザーメスを用いる際の利点は、術後の腫脹や疼痛が少ない、術後の関節水
腫が少ない、術中出血部を凝固することができるので術後の関節血腫が少ない、狭い部分にも関節軟骨を損
傷することなく容易にハンドピースを挿入することができる、などであった。ただし、レーザーメスを垂直に関節
軟骨に照射することは術後の骨壊死を起こす可能性があるため避けるべきである。また、近年レーザーを半月
板縫合に応用する試みが行われており、将来大いに期待される治療法となりうるものと考えている。