日レ医誌(JJSLSM)第21巻第3号(2000)

肘・足関節障害における鏡視下Ho:YAGレーザー治療の有用性 〜スポーツ障害を中心に

日本大学医学部附属駿河台病院整形外科
斎藤 明義、布袋屋 浩、森本 祐介、相原 利男、洞口 敬、福島 一雅、龍 順之助
 
<目的>1990年に米国でHo:YAGレーザーが開発されて以来、関節鏡視下手術の進歩に拍車がかけられた感
がある。1992年2月から当科でスポーツ障害にHo:YAGレーザーを使用した鏡視下手術は921例であるが、そ
の中比較的小関節である肘、足関節での有用性について検討を加え報告する。
<対象および方法>肘関節88例(平均26歳)、足関節57例(平均23歳)を対象とした。Ho:YAGレーザーはコヒレン
ト社製(最大出力80W)、トライメダイン社製(最大出力40W)の2種類を用いた。
使用したプローブは1.7mm径で照射角度は15°、30°、70°を使い分けた。
<結果>肘、足関節の小関節では、レーザーの有用性は骨棘、滑膜、メニスコイドの切除、遊離体の蒸散、止
血に認められた。しかし、小関節にレーザーを用いる場合には関節鏡の破損に十分注意を払う必要がある。
Ho:YAGレーザーの機種の違いによる有用性に差を認めなかった。
<結語>今後、多くのレーザーが開発されると思われるが、各々のレーザーの特徴を熟知した上で、適応を選
べば21世紀に向けて鏡視下手術の新しい分野が開かれる可能性がある。