日レ医誌(JJSLSM) 第20巻第3号(1999) 

整形外科領域におけるレーザー治療 〜疼痛緩和を中心に〜 

駿河台日本大学病院整形外科
斎藤明義、布袋屋 浩、根岸慎一、元島清香 



【目的】
 1992年より当科で用いている高反応レベルレーザー(Ho:YAGレーザー)と、1993年から外来治療に用いて
いる低反応レベルレーザー(半導体レーザー、150mW、1W)の整形外科領域における有用性を検討し、将来
への展望をのべる。 

【対象と方法】
 高反応レベルレーザー治療郡(HLLT郡)は、現在までに行われた鏡視下レーザー手術641例中、疼痛緩和
のみを目的として手術を行い、1年以上経過した変形性関節症33例(膝関節31例、足関節2例、平均64歳)を
対象とし、JOA score、Pain relief scoreを用い、評価した。低反応レベルレーザー治療郡(LLLT郡)は、当
科で行った150mW、1Wの二重盲検結果を踏まえ、スポーツ障害を中心とした疼痛患者473例についてLLLT
の効果をpain relief scoreで評価した。さらにHLLTでは肩関節前下方不安定性を呈する27例のスポーツ選
手に対し、レーザーによる間接包収縮を行い、1年以上の系かでその機能を評価した。LLLTでは出力1W以下
のNd:YAGレーザー、半導体レーザーを用い、in-Vitroの実験ではあるが豚半月の融着ついて研究を行った。 

【結果】
 HLLT郡では33例中、3例は普遍であったが、残る30例はPain relief scoreで平均3点と疼痛緩和がみられ
た。LLLT郡では肩、腰、足関節の疼痛に有効率が低い傾向を示すものの全体としては約70%の効果がえら
れた。HLLTによる肩関節包収縮の結果は適応を厳選することで肩関節機能の改善は85%に認められた。主
に熱作用を利用する半月板融着実験では、Nd:YAG、半導体レーザーとともに、半月板断裂部を色素で染色す
ることで融着することが判った。 

【結語】
 疼痛緩和におけるレーザー治療の有用性は、HLLT、LLLTともに認められた。熱作用、光作用を利用する中
反応レベルレーザー治療(MLLT)は21世紀の整形外科治療の一つとして期待されると考えられた。