第1回日本整形外科レーザー研究会

開催概要研究会日程表抄録集


開催概要

研究会:第1回日本整形外科レーザー研究会

会期:1996年9月6日(金)7日(土)

併催:器械展示会

会場:共済会館 びわこ

〒520 滋賀県大津市におの浜4−2−40
電話:0775−24−4124
FAX:0775− 24−4124

交通:JR大津駅前(日本生命ビル横)より臨時「会館バス」
9月6日(金)12:00出発
京阪バス又は近江バスにて「湖岸道路経由石山行き」 「馬場一丁目」下車、徒歩3分

会長:米沢卓実 (大阪医科大学 整形外科)

事務局:

〒569大阪府高津氏大学町2−7
大阪医科大学 整形外科学教室内
日本整形外科レーザー研究会事務局
代表 小野村敏信
担当 市村・岡崎
電話:0726―83−1221(内線2364) FAX:0726―83―6265


研究会日程表

9月6日(金)

開会挨拶(13:30)  会長 米沢 卓実 (大阪医科大学 整形外科)

研究発表

I.基礎―1(13:40〜14:05)司会:米沢卓実(大阪医科大学 整形外科)

1. 凝固切開用レーザー内視鏡の開発:橋新裕一(近畿大学理工学部電気工学科)
2. レーザーを用いた複合インプラント材料の開発:中山斌義(近畿大学理工学部電気工学科)
3. 自由電子レーザーの医療・バイオ分野への応用:西村榮一((株)自由電子レーザ研究所)

II.基礎―2(14:05〜14:40)司会:市村善宣(大阪医科大学 整形外科)

1. 背柱変形の矯正に対するレーザー髄核蒸散法の応用―実験的研究― :吉良貞政(大阪医科大学整形外科)
2. マキシマレーザーによるラット脛骨骨切り:生芝幸夫(国保多古中央病院整形外科)
3. レーザーによる殺菌効果の検討:岡崎辰也(大阪医科大学整形外科)
4. 仮骨延長における低出力レーザーの仮骨形成の効果:加藤 洋(大阪医科大学整形外科)

III.脊 椎(14:40〜15:40)司会:西島雄一郎(金沢医科大学 整形外科)

1. レーザーによる経皮的椎間板蒸散法(PLDD)施行後の椎間高の変化:幕谷 薫(高槻赤十字病院整形外科)
2. 腰椎々間板ヘルニアに対するNd―YAGレーザー随核蒸散法の経験:斬波卓哉(杏林大学整形外科)
3. 警部椎間板ヘルニアに対する経皮的レーザー椎間板除圧術:市村善宣(大阪医科大学整形外科)
4. Nd:YAG−PLDD―術後1年経過例のMRI所見―:小坂理也(大阪医科大学整形外科)
5. 経皮的 間板随核蒸散法の適用について:米沢卓実(大阪医科大学整形外科)
6. 胸腰椎移行部ヘルニアに対する鏡視下経皮的レーザー椎間板除圧術:西島雄一郎(金沢医科大学整形外科)
7. PLDD:Experirence in Germany:Werner Rother(Dornier Medizentecknik GmbH)

コーヒーブレイク及び展示企業発表(15:40〜16:40)

瑞穂医科工業株式会社
エム・シーメディカル株式会社
ドルニエ メディカル システムズ株式会社
東京医研株式会社
HOYAメディカル株式会社
(有)オサダメディカル

研究発表

IV.関節(16:40〜17:30)司会:井上和彦(東京女子医科大学)

1.レーザーを用いた膝関節鏡視下手術の有用性:伊藤智康(大阪市立十三市民病院整形外科)
2.膝前十字靱帯鏡視下再建術におけるHo:YAGレーザーの使用経験:陵本清剛(大阪第二警察病院整形外科)
3.膝蓋骨亜脱臼症状群に対するHo YAG Laserを用いた関節鏡視下外側支帯解離術の検討:愛川 肇(金沢医科大学整形外科)
4. 40WのHo:YAGレーザーによる視座関節鏡視下手術:岸本郁男(高槻赤十字病院整形外科)
5. レーザーを使用した型関節鏡視下手術について:岩田 修(湘南鎌倉病院)
6. 関節鏡視下レーザー手術 :井上和彦(東京女子医科大学リウマチセンター整形外科)

夕食会(18:00〜19:30) 司会:小野村敏信(日本整形外科レーザー研究会代表)

挨拶:井上銭三 (日本レーザー医学会会長・防衛医大)

V.ナイトセッション(モデレーターを中心にディスカッション)(20:00〜21:30)
進行:市村善宣(大阪医科大学整形外科)

モデレーター:

脊  椎:米沢卓実(大阪医科大学整形外科)
      西島雄一郎(大阪医科大学整形外科)
関  節:井上和彦(東京女子医科大学リウマチセンター整形外科)
     岸本郁男(高槻赤十字尿院整形外科)
基礎―1:椎橋 忠(コヒレント ジャパン)
       後藤繁(株式会社長田中央研究所)
基礎―2:岡崎辰也(大阪医科大学整形外科)
       生芝幸夫(国保多古中央病院整形外科)

9月7日(土)

VI.レクチャー(09:00〜09:40)司会:井上和彦 (東京女子医科大学リウマチセンター整形外科)

「レーザーの基礎と安全について」 演者:米沢卓実(大阪医科大学整形外科)

コーヒーブレイク及び展示企業意見交換(展示会会場にて) (09:40〜10:30)

VII.総会及びIMLASにむけて (10:30〜12:00)

総  会          司会:阿部宗昭(大阪医科大学整形外科)

1. 第一回・第二回準備委員会での確認事項について
2. IMLS'97の共催について
3. 名誉会員承諾の確認について
4. 現時点での会計報告と今後の維持について
5. ニュースレターの発行について

IMLSにむけて

1. 準備状況の報告と予定について
2. 会としての対応について
3. 発表について
4. パラメディカル(シンポジウム)について


  抄録集


基礎

基礎-1-1
凝固・切開用レーザー内視鏡の開発
近畿大学理工学部電気工科
○ 橋新裕一,大内田貴之、坪倉正樹 久保宇市
 波長11μmのNd:YAGレーザー内視鏡は凝固能力に優れるが、切開能力に劣る。一方、最近注目されている波長3μmのEr:YAGレーザーは炭酸ガスレ,ザーよりも切開能力に優れる特長を持つ。そこで、レーザー内視鏡にNd:YAGレーザーのみならず,Er:YAGレーザーも導入して、内視鏡下で生体凝固・切開の可能なレーザー内視鎮システムを開発する。Nd:YAGレーザーの導光系には石英系ガラスファイバーを、Er:YAGレーザーには石英系ガラスファイバーが使えないので,フッ化物ガラス(ZrF4)フアイバーを使用する。ここでは、筋肉組織、脂肪組織およぴ骨組織に対する両レーザーの切開・凝固特性について,実験した結果を報告する,また、中心にZrFkファイバーを置き、その周りを囲む形に石英ファイバーを3本配置したバンドルファイバーを試作したので、その結果についても報告する。

基礎-1-2
レーザーを用いた複合インプラント材料の開発
近畿大学理工学部  ○中山斌義、熊崎建二、松谷貴臣、久保宇市
 アルミナセラミックス(Al2O3)は機械的強度が高く、化学的安定な生体不活性材料として知られている。その表面に生体との親和性を持たせるため、骨の無機成分であるハイドロキシアパタイト(HAp:[ca10(PO4)6(OH)2])を付着させることを試みた。 HApの粉末を錠剤に形成し、これにレーザー光に対して透明なAl2○3 基板にのせ、基板側からKrFエスキシマレーザー(λ=24Bnm,τ=23nsec)を0.7J/-2・pulseの強度で400回照射した。
 レーザー照射試料を脱イオン水を用いて超音波洗浄し、Al2○3上のHApの密着性を確認した。表面形状や成分分析にはEPMA(電子線プロープマイクロアナライザー)を、結晶性の確認にはTEM(透過電子顕微鏡)による電子線回折を用いて行った。その結果、Al2○3基板表面に密着性が高く、結晶性の良いHAp層が約5μm付着していることが判った。

基礎-1-3
自由電子レーザの医療・バイオ分野への応用
                 −自由電子レーザ研究所 西村榮一
 自由電子レーザ(Free Electron Laser,以下FELと略)は、波長可変な
極短パルス単色光であり、紫外線領域から赤外線領域まで任意に発振可能な
レーザである。現在、当所におけるFEL発生装置の性能は、波長可変領域
0. 28-20μm、波長分解能0.5%以下、ピーク出力10MW、平均出力          
50mW、パルス幅数psである。FEL利用施設としては、分子生物学、分子遺伝子工学、細胞生物学のための分析及び解析装置がほぼ完備されている。
 医療・バイオ分野への応用として下記のテーマの研究を進めている。
 1 免疫系への応用研究:FELを用いた造血系幹細胞への遺伝子導入
 ・ 生体アブレーションの研究:歯の加工と改質法の開発
本報告では、施設の紹介を中心に上記の研究の概略について述べる。
 
 

基礎-2-1
 
 
基礎-2-2
エキシマレーザーによるラット脛骨骨切り
国保多古中央病院整形外科      ○生芝幸夫
筑波大学整形外科                会田育男、林浩一郎
工業技術院機械技術研究所        碓井雄一
 骨切り術に対するレーザーの応用の可能性をみるため、骨切断後、癒合状態を観察した。
 ラットの脛骨を、KrFエキシマレーザーおよびボーンソーにて切断後、キュルシュナーワイヤーにて髄内固定し、その後の経過をX線および組織学的に観察した。尚、レーザーによる切断は、常温生食水をノズルで流し、その中を通す様に照射して行った。
 ボーンソーによる切断では、6週で癒合。これに対しレーザー群では8週以上を要した。
 報告によると、レーザーによる骨切断は、その効率がよいとは言えず、その後の骨癒合は熱変性などにより非常に遅延するとされる。
 今回の方法で照射したところ、切断部付近の温度はほぼ室温となり、かつ切断時間が2分の1以下に短縮された。
 今回の条件下ではボーンソーより癒合が遅延したが、レーザーの照射条件、切断部の冷却法などを変える事により、癒合期間が短縮されるのではないか。

基礎-2-3
レーザーによる殺菌効果の検討
大阪医科大学整形外科教室 ○岡崎辰也 米沢卓実 小野村敏信 阿部宗昭
      微生物学教室  佐野浩一 中井益代
MRSAは多剤耐性を示すため抗生剤による殺菌方法では限界がある。そこで,抗生剤とは違う殺菌方法として,レーザーによる殺菌が可能であるかを検討した。殺菌効果の判定としては,寒天平板培地上に菌液を塗布した後,アルゴンレーザー(発振波長=514nm)を照射し、37℃で24時間培養後,増殖阻止域を観察した。さらに,殺菌効果の増強を得るために3種類の食品色素をそれぞれ細菌に反応させた後,レーザー照射を行い阻止域を観察した。レーザー単独照射では,高いエネルギーでないと殺菌効果は現われず、しかも増殖阻止域の直径も1mm程度と小さかった。一方,細菌へ食品色素を反応させてからレーザーを照射することにより,比較的低いエネルギーでも殺菌効果を認め、増殖阻止域の直径も9mmと拡大した。特に,アルゴンレーザーの発振波長である514nmに最も高い吸光度を示す赤色3号において殺菌増強効果が著しかった。

基礎-2―4
仮骨延長における低出力レーザーの仮骨形成への効果
大阪医科大学
○加藤 洋,米澤卓実,阿部宗昭
 Ilizalov,De Bastianiの報告以来,緩徐骨延長法による肢長差や小人症などの治療が数多く報告され,我々の施設でも仮骨延長法を臨床応用し,その有用性を確認している。しかし,予定の延長が終了しても仮骨の成熟を待つために創外固定器を長期間装着する例が多い。創外固定器の装着期間を短縮するため,仮骨の形成を促進させる試みが様々に行われている。当教室ではレ一ザ一利用に関する基礎的,臨床的研究を様々な領域で行ってきた。レーザ一光の生体に対する創傷治癒促進効果や骨芽系細胞の賦活化などが報告されているが,レ一ザ一が仮骨形成を促進できるかどうかを検討するため以下の実験を行った。日本成熟白色家兎の下腿骨を創外固定装着直後より0.5mm/日で10日間延長し,延長終了時にHe―Neレ一ザ一(10mW)を経皮的に照射した。この実験系におけるレ一ザ一照射の方法や条件設定などにつき報告する。

 


脊椎

脊椎―1
レ一ザ一による経皮的椎間板蒸散法(PLDD)施行後の椎間高の変化
 高槻赤十字病院整形外科・ ☆大阪医科大学整形外科学教室
幕谷 薫,岸本郁男,米澤卓実,丸山貴資,松居孝一,☆阿部宗昭,☆小野村敏信
 当科では腰椎椎間板ヘルニアに対し観血的手術として主にLOVE法を施行しているが,同法施行後椎間高の減少をみることは稀でない。我々は1993年以来当科におけるPLDD施行例の中で6ヵ月以上椎間高の経過を計測し得た症例に対して,術前,術後3ヵ月,さらに術後6ヵ月以降における椎間高の減少率変化を調べ検討した。
 【方法】PLDD法で使用した機器は,Nd : YAGレ一ザー(波長:1064mm,連続発振,長田電機工業製),テフロンコーティングを施したオリジナルのダブル針,コアー径200ミクロンの石英ファイバ一,針先型圧センサーである。椎間高の計測は椎林間前縁の高さと後縁のそれを平均化したものとし,術前を100%として術後3ヵ月,及び6ヵ月以降の椎間高の減少率をそれぞれ計測,検討した。
 【結果】椎間高の減少率は少なく,3ヵ月後,6ヵ月以降の経過においても著明な高さの減少を示す例はなかった。
 【考察】連続発振によるNd : YAGレーザーなどの蒸散法においては髄核の組織蒸散のみならず熱変性後組織変化による椎体間の安定効果も考えられている。椎間高の不変はそれを示唆するものの一つと思われた。
 【まとめ】今後さらに症例を重ね,より長期の経過を観察して術前評価,年齢,術前経過期間,画像所見なども加味しつつ検討していくつもりである。
 

 

脊椎-2
腰椎々間板ヘルニアに対するNd-ΥAGレーザーー髄核蒸散法の経験
杏林大学整形外科
O斯波卓哉、
 河合 大、
里見和彦、宮坂芳郎、
服部和幸、星 亨、石井良章
【目的】腰椎々間板ヘルニアに対しレーザーを用いた経皮的髄核蒸散法(以下PLN)を行い、その結果をもとに、PLNの適応と限界を明らかにしたい。
【対象と方法】腰椎々間板ヘルニア20例(男性12例、女性8例、平均29.8才)に対して、波長1064 nm のNd―YAGレーザーを用いてPNLを行った。照射は患者を健側下の側臥位とし、局所麻酔下で行った。 PLNの結果は、日整会腰痛疾患治療成績判定基準(以下JOAスコア)と、患者の満足度をもとに評価した。
【結果】PLN直後の自覚的改善は14例(70%)で認め、退院時のJOAスコアの平均改善率は58.4%、平均1年間の経過観察期間中では76.3%であった。手術移行例は3例であった。 2000J 以上の照射を行った症例で良好な改善率を示す傾向が認められた。【結論】PLNはproturusion typeやsubligamentous extrusion type の腰椎々間板ヘルニアに良い適応であり、良好な結果を得るためには2000J以上の照射が必要である。またPLN直後の効果が不十分でも最低半年間は経過観察するべきであると思われた。

脊椎-3
頚部椎間板ヘルニアに対する経皮的レーザー椎間板除圧術

大阪医科大学整形外科○市村善宣、米澤卓実、小坂理也、小野村敏信、
            阿部宗昭
 頚部椎間板ヘルニアに対し、経皮的レーザー椎間板除圧術(以下PLDD)を行った結果をもとに、PLDDの作用機序、適応、限界について検討する。
 対象は、3ヶ月以上の保存的治療でも改善の得られない神経症状を有する頚部椎間板ヘルニア9(男性7、女性2)例である。施行時年齢は26-60(平均43)歳であり、5例が神経根症状、3例が脊髄症状、1例は脊髄・根症状を呈していた。症状の経時的変化では、神経根症状はPLDD施行早期に改善が得られた一方で、脊髄症状の改善には時間を要する傾向にあった。最終観察時の成績は優1例、良4例、可2例、不可2例(有効率56%)であった。
 頚部椎間板ヘルニアの治療法として、PLDDは従来の観血的手術と比べて侵襲が少ないという利点を有する一つの選択肢と考えるが、有効率が低いことを考慮したうえで適応を決めるべきである。

脊椎―4
Nd:YAG‐PLDD ―術後1年経過例のMRI所見―
  大阪医科大学整形外科学教室 ○小坂理也、小野村敏信、米澤卓実、
                  市村善宣、阿部宗昭
【目的】Nd:YAGレーザーによる経皮的レーザー椎間板減圧術(以下PLDD)が椎間板に与える短・中期的な影響をMR|所見を中心に検討する。【対象と方法】
Nd:YAG・PLDDを行った腰部椎間板ヘルニア症例のうち、直接検診及びMRI検査により術後]年以上観察し得た]9例(男]0名、女9名、術時平均年齢26,5才)19椎間板について-椎間板高、-髄核部信号輝度、-ヘルニア形態、-終板および椎体部の変化をMRIで検討した。 MRIの最終撮像時期は術後1年から3年8ヵ月(平均]年8ヵ月)であった。【結果】最終観察時14例(73,7%)に髄核部信号輝度の低下を、8例(42,1%)にヘルニアの縮小を認めた。椎間板高の減少は4例(21,]%)で見られた。また術後経過中、2例(]0,5%)に終板部海綿骨の輝度変化が一過性に観察された。 MRIで見られたこれらの所見は臨床症状と必ずしも一致するものではなかった。【小括】術後の椎間板変性の所見がPLDDによる変化であるのか、自然経過として生じたものかを比較検討することが今後の課題である。

脊椎-5
経皮的椎間板髄核蒸散法の適応について
o米沢卓実、小野村敏信、阿部宗昭、小坂理也、市村善宣、丸山貴資
大阪医科大学整形外科学教室

 レーザーによる腰部椎間板ヘルニアに対する治療法が開発され、1987年以降アメリカ、∃-ロッパで神経根症状を持つ人腰椎椎間板ヘルニアに対し使用され始めた。 当初は、連続発振のNdヤグレーザーが使用されていたが、ホルミウムヤグレーザーやKTPレーザーなども使用され、有用性の報告が多数なされるに至っている。
 我々は、当初よりNd:ヤグレーザーを使用し、安全なレーザー発振のために開発したダブルルーメンの針、また、本法の第1の目的である椎間板内圧の減圧効果を確認するために開発した針先型圧センサーを使用してレーザー照射を行い、その結果に基づき適応について検討を加えている。
PLDDの初期の17例とその後の28例について、その成績改善のために行った工夫を中心に報告すると共に、その結果に基づき適応について検討を加えているので報告する。

脊椎-6
胸腰椎移行部ヘルニアに対する鏡視下経皮的レーザー椎間板除圧術 金沢医科大学整形外科 ○西島雄一郎、東田 紀彦、愛川 肇、土島 秀樹石塚外科整形外科病院 石塚弘和
【目的】胸腰椎移行部ヘルニア(Th12/L1‐L2/3)は近年のMRIの発達で画像として認識されることは多いが、その症候学も、治療法も確立されていないo我々は30例の胸腰椎移行部ヘルニアで鏡視下経皮的レーザー椎間板除圧術(以下EPLLD)を行い著効、有効例を見ているので報告するo
【方法】30例は胸腰椎移行部単独ヘルニア例(以下単独例)20例と、腰仙椎部ヘルニア合併例10例からなるo全体の平均年齢は47.5歳で男女比は23:7であったo単独例では背部痛が下肢痛より強く、腰背痛のみが7例35%を占めたo合併例は初回、腰仙部椎間板ヘルニアに対して行い、その後腰背痛が残るため、胸腰椎移行部ヘルニア対して行ったo
【結果】施行椎間は単独例で1椎間16例(L1/2,2例、L 2/3、14例)2椎間4例(Th12/L1,L1/2,1例、L1/2,L2/3,3例)合併例ではL2/3,9例、Th12/L1,1例であったo JoAスコアーは術前16.1点から術直後22.9点と有意に改善したo改善率25%以上が有効とするとその有効率は単独例で82.4%,合併例で78.6%であったo
【考察、まとめ】胸腰椎移行部ヘルニアは従来の後方アプローチでは神経損傷の危惧が、前方アブローチでは侵襲の大きさが問題となるoその点EPLLDでは最小の侵襲で従来の観血的手術と同等の効果が得られるo 症状的に下肢痛を伴わない場合でもEPLLDは効果があるo腰仙椎部ヘルニアに合併する場合、初回の腰仙推部ヘルニアのEPLLDで症状が残る時、胸腰椎ヘルニアに対する追加EPLLDを考慮すべきであるo

脊椎-7
PLDD: Experience in Germany
DorniorModizinteohnik GmbH
Werner Rother,Ph Dr.
Percutaneous Laser Disc Decompression(PLDD)with cw‐Nd:YAG lasers has been performed byAscherand Choy in Graz in 1g86 for the first time. Hellinger and Sieberd have started PLDD inGermany in 1989,In the meanwhile PLDD become astandard procedere applied by orthopedic surgeons as well as by neuro surgeons. A success rate of nearly 80% has been proved in more than 3,500 patients.
Different types of Lazers,like the Ho:YAG at different wavelengths have been evaluated by Schlangmann, Schmolke and siebert. It was found When the fiber was centered correctly in the disc.
The low complication rate proves PLDD as a safe proves PLDD as a safe minimal invasive technique with many benefits to the patient.

 


関節

関節-1
レーザーを用いた膝関節鏡視下手術の有用性
大阪市立十三市民病院整形外科 ○伊藤智康、河田 弘、田中 亨、仁田史人
 【はじめに】最近我々は、コヒレント社製Holmium YAG Laser system VERSAPLUSEを用い、膝関節鏡視下手術を行っている。今回、その臨床成績およびレーザー治療の有用性について報告する。
 【対象および方法】内側半月板損傷9例、外側半月板損傷1例そして棚障害5例に対して手術を施行じた。治療成績の判定は、半月板損傷に対しては、日整会半月板損傷治療成績判定基準を用いて行ない、棚障害に対しては、特定の治療判定基準がないことから、三大学試案の膝関節評価表を用いて治療成績判定を行つた。
 【結果】変形性関節症合併例では、術後成績での改善はそれほど見られなかったが、患者自身は歩行時の痛みが楽になったと満足している。その他の症例では、治療成績および患者の満足度とも良好な成績が得られた。術後の出血などによる関節の腫張は、すべての症例で術直後より軽度であった。

関節-2
膝前十字靭帯鏡視下再建術における  Ho:YAGレーザーの使用経験
大阪第二警察病院  整形外科   高槻赤十字病院   整形外科
   ○陵本 清剛            岸本 郁男  米澤 卓実
 {目的}膝前十字靭帯再建術にHo:YAGレーザーを使用し、その有用性について検討し報告する。[対象および方法]使用したレーザーはTrimedyne社製のHo:YAGレーザー(波長2100nm,パルス発振、最大出力40W)である。鏡視下靭帯再建術において、遺残十字靭帯の切除、および間形成における骨・軟骨の切除に対してレーザーを用いた。[結果]遺残十字靭帯の切除においては、出血がほとんどみられないため、駆血帯の使用を必要としなかった。このため、手術全体での駆血時間の短縮が計られた。穎形成においては、軟骨切除は容易であったが、骨切除は可能ではあるものの蒸散速度がおそいため、出力の限界を感じた。このため、レーザーを用いて軟骨切除を行って穎間顆のメルクマールを行い、骨切除には従来通りスチールバーを用いた。[結語]軟部組織部組織のハ切除は、レーザーを用いることによって出血なく組織蒸散が可能であり、結果として駆血帯使用時間の短縮が行い得た。骨切除には、より高出力の発振器の開発が望まれる。

関節-3
 膝蓋骨亜脱臼症候群に対するHo:YAG Lazerを用いた関節鏡視下外例支帯解離術の検討
 金沢医科大学整形外科 ○愛川 肇 西島雄一郎 東田紀彦
 (目的)膝蓋骨亜脱臼症候群に対してHO:YAG Laser を用い、関節鏡視下に外例支帯解離術を行い、その術後成績について検討した。(対象および方法)HO YAG Las・を用いた鏡視下外例支帯解離術を15例に行い、1年以上経過観察した10例を対象とし、女性9例、男性1例、年齢は平均19.3歳であった。臨床症状では疼痛、patella apprehension testについて調査し、単純X線像では術前、調査時のsulcus angle、tilting angle、lateral shiftを測定した。また、術翌日より全荷重歩行を行った。(結果)術前すべての症例で疼痛を認め、patella apprehension testは陽性であった。調査時patella apprehension testは全例認めなかったが、1例で軽度の疼痛を認めた。術後関節血腫を認めた症例はなかったが、1例で関節水腫を認めた。単純X線像では、sulcus angleは平均140度であり、tilting angle は術前平均14.1度から調査時平均6.6度、Lateral shiftは術前平均11.9%から調査時平均4.9%と改善した。本疾患は活動性の高い若年齢者に多い疾患であり、HO:YAG Laserによる鏡視下外側支帯解離術は侵襲が少なく、早其啄7)日常復帰が可能であり、有用であると考えられた。

関節-4
40WのHo:YAGレーザーによる膝関節鏡視下手術
高槻赤十字病院整形外科
○岸本郁男、幕谷薫、山本善哉、山口和男
 1992年以来、22.4wのHO:YAG レーザーを使用して膝関節鏡視下手術を行ってきた。今回、40wの機種を使用する機会を得たので、その経験を報告する。
 [対象]対象は1996年5月以降に40wHo:YAGレーザーを使用して、膝関節鏡視下手術を行った約30関節である。[方法]これらの症例の、出力が高くなって可能となった処置等について、以前の機種の時代の症例と比較検討した。[結果]以前の症例では半月切除術の際、大きな切除片に対しては鏡視下用把持錯などにより関/節から取り出していた。現在使用中の機種では、切除片を作らずに断裂部を完全に蒸散できるので、手術操作が楽である。鏡視下前十字靭帯再建術おいて、しばしば経験することであるが、顆間頼寓在する硬い繊維組織は従来のシェイバーによっても切除できない事事もおる。高出力のレーザーでは骨を露出するほどの切除能力があり、顆間窩の清掃に有効であった。一方骨組織の蒸散に関しては、その破壊片が石英ファイバーにふりかかり、ファイバーチップ部の損傷に結びつく恐れがあるように思えた。 その他、レーザーの高出力化の利点、問題点について報告する。

関節―5
レーザーを使用した肩関節鏡視下手術について
湘南鎌倉病院
○岩田修 塩野正喜
 肩関節鏡視下手術においては止血帯が使用できないため、出血のコントロールが重要である。Holmium:YAGlaserは切開、剥離だけではなく、止血凝固もできるため肩関節鏡視下手術にとって非常に有効な器械である。出血がすくないため術中は良好な視野がえられ、術後は痛みが少なく早期の回復につながると考える。また、動揺性肩関節症にたいしてのLazer-assisted capsular shift (LACS)は鏡視下手術の適応を広げる可能性を持っている。
 1993年4月より1996年2月までに行なったレーザーを使用した肩関節鏡視下手術は45件で、これらの経験からその利点と問題点について述べる。

関節-6
関節鏡視下レーザー手術
東京女子医科大学 リウマチセンター 整形外科
○井上和彦、西村立也、大辻孝昭
 最小侵襲手術を目標とする関節鏡視下手術において、non‐touch surgery の可能なレーザーは有用な機器である。利用可能なレーザーは炭酸ガス、Nd‐YAG,Ho‐YAG,アルゴン、アルゴン・ダイなどである。
関節鏡視下レーザー手術法は 1)組織の焼却、凝固 2)止血 3)光化学療法 4)光刺激療法 が考えられる。問題点は一般的に関節鏡視下手術は関節を生理食塩水で拡大して施行することであり、利用可能なレーザーに限定が生じる。関節を気体で拡大するとレーザーに限定はなくなるが、関節鏡視下手術に制限が生じる。関節鏡視下レーザー手術の現状について述べたい。
 
 


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