資料-2

長期総合計画・基本構想の骨格について

1  将来都市像

(1)将来都市像
  本市は、多摩丘陵の豊かな緑と多摩川の清流に育まれた豊富な水路などが残る、自然環境に恵まれた市民のまちです。
  市域には古くから祖先が居住していたとみられ、坂浜では約5万年前の石器が発見されています。また、大丸では武蔵国分寺に用いた瓦を焼いた奈良時代の窯跡が発見され、内部の壁面からは貴重な馬の線刻画も発見されています。市内には、こうした伝統的な文化や遺跡、歴史的な建造物などの貴重な遺産が数多く残されています。
  一方、丘陵部においては、まちづくりのモデル事業として計画された多摩ニュータウン事業により新しいまちづくりが進められ、いよいよ終盤を迎えようとしています。
  まちの発展過程は、地域の特性や手法によって異なりますが、それぞれの特性を活かし、更には長い歴史と伝統を尊び、新しさと歴史、自然と人の暮らしが調和したまちづくりを進めていきます。
  まちづくりの主人公は市民です。市民と行政、市民と市民のお互いが信頼し合い、協働して「自分達のまちは自分達でつくる」ことを基本に、自立性、主体性の高い都市の形成を進めます。
 21世紀がスタートしました。新しい時代に生きる市民として、地球環境を大切にし、後世に誇れるまちを築いていきます。このため、従来からの都市像の実現を継承し、更に市民生活を大切にした都市の実現のため、新たな将来都市像を次のとおり設定し、この実現に向けて取り組んでいきます。

将来都市像
----------○○○○○○○○○○○○○をめざして---------

 豊かな自然につつまれた快適な住環境のなかで
だれもが穏やかで豊かに暮らせる市民生活を大切にし
いきいきとした新世紀にふさわしい新しさと出会いのあるまち

(参考 将来都市像キャッチフレーズの例)

緑につつまれ 友愛にみちた市民のまち 稲城
----------○○○○○○○○○○○○○をめざして---------

※緑につつまれ・・・は第二次長期総合計画に引き続く都市像を基本としますが、○○の部分は第三次長期計画の基本計画期間である10年間のサブテーマとして位置づけます。計画の名称と同様に、市民に親しみやすい言葉を提案したいと思います。


    豊かさを実感できる    生活環境都市をめざして
                     環境共生都市をめざして

    人と自然がふれあう    きらめくまちづくり
    都市と自然がとけあう    住民参加のまちづくり
    自然の息吹を感じる    基盤を活かしたまちづくり
                    ステップアップ いなぎ
                    生活融合都市
                    エコタウン いなぎ

    市民と自然に優しい     創成都市

    自然が響くうるおいのある 緑きらめく未来へ
                    緑住生活都市

    うるおいと ふれあいの  交流形成都市
    市民とともに育む      快適居住都市

    やさしさを実感できる    生活洗練都市をめざして
                    生活循環型都市をめざして
                    うるおいのある生活都市をめざして

    緑とやさしさに出会えるまち
    みんなでささえあう    ニュータウン(新しいまち)


全国のまちづくりの素材


(2)まちづくりの基本目標
  将来都市像の実現を目指すため、まちづくりの基本目標を次のとおりとし、各施策を計画的に実施します。


                                         将来都市像
まちづくりの基本目標


2 将来人口

 日本・東京都の将来人口の見通し
 日本の総人口は、第二次世界大戦直後の昭和22年(1947年)には7,810万人、高度経済成長期に入る昭和35年(1960年)には9,342万人、昭和50年(1975年)には1億1,194万人と増え続け、平成8年(1990年)には1億2,616万人となっています。(総務庁統計局)
  国立社会保障・人口問題研究所の推計では、総人口のピークは2007年で1億2,778万人となり、それ以降は減少を続け、2020年には1億2,413万人、2050年には1億49万人まで減少し、このまま推移すると2100年には6,737万人にまで落ち込むと予測しています。総人口の減少は、経済、社会保障、教育、文化など社会システム全体に大きな影響を与えます。
 東京都の人口は、全国からの若年層の流入などにより1965年(昭和40年)頃までは大幅に増加し、昭和63年(1988年)には1,189万人となりピークを迎えました。その後は近隣県への転出等により減少傾向となり、平成7年(1995年)には1,177万人となり、以降、東京都による人口推計では、2005年には1,171万人、2015年には1,134万人程度になると予測されています。(平成9年12月東京都資料)

  本市の将来人口の見通し
  本市においては、平尾団地や多摩ニュータウン事業、土地区画整理事業などのまちづくり事業の進捗に伴い人口も増え続け、国勢調査では昭和45年(1970年)には30,817人、昭和50年(1975年)には43,924人と急激に伸び、昭和55年(1980年)には48,154人となり、昭和60年(1985年)には50,766人、平成2年(1990年)には58,635人、平成7年(1995年)には62,801人と増え続けてきました。
 今後は、東京への人口の転入傾向の減少や少子化などの進行により、人口の増加傾向は鈍化してくるものと予測します。
  このような社会的な人口動向や地域開発の状況等を踏まえ、本計画期間における将来人口を次のとおり想定します。

平成22年度(西暦2010年)での想定人口
75,000人

3 将来土地利用

(1) 土地利用構想

1)地域の特徴を活かした調和のとれたまちづくり

 市域は、平坦地(既成市街地)、三沢川左岸丘陵地、三沢川右岸丘陵地及び平尾地区の4つの地域に大別できます。これらの地域は、それぞれ地形やまちの発展過程が異なりますので、それぞれの特徴を活かしながら、全体としてまとまりのある調和のとれたまちづくりを進めていきます。また、これらの地域間における交流を深めるとともに、乳幼児から高齢者まで住み慣れた地域でいきいきと暮らせる、安全で快適なまちづくりを進めていきます。

  平坦地(既成市街地)
  多摩川沿の平坦地に開けた、既存の市街地です。この地域には、地域性に富んだ歴史や文化がありますので、これらを大切にするとともに、緑や水を活かしたうるおいのある生活空間の創出と生活環境の向上を目指したまちづくりを進めていきます。また、区域内にはJR南武線の3つの駅がありますので、南武線の連続立体高架事業にあわせた駅周辺のまちづくりや、南多摩尾根幹線などの広域幹線道路の整備に合わせたまちづくりなども進めていきます。

  三沢川左岸丘陵地
  市域のほぼ中央部に流れる三沢川を中心とした左岸側の丘陵部は、多摩ニュータウン事業を中心として開発が進められています。多摩ニュータウンの隣接部については、ニュータウン事業との整合のとれた一体的なまちを目指します。

  三沢川右岸丘陵地
  三沢川を中心とする右岸の丘陵地には、比較的まとまった緑地系の土地が多く残されています。緑や自然環境を活かした良好な市街地を形成するため、計画的なまちづくりを進めていきます。

  平尾地区
  歴史のある市街地と平尾団地及び土地区画整理事業によるまちに分けられます。生活環境の向上と他の地域との連続性が図れるよう、都市基盤整備を中心に快適なまちづくりを進めていきます。

特色ある4つの地


特色ある4つの地域


2)都市軸と中心地区の形成及び生活拠点の育成
  多摩川から京王相模原線稲城駅を経て若葉台駅に至る鶴川街道に沿う南北軸を都市軸と位置づけます。京王相模原線稲城駅を核とする市街地とJR南武線稲城長沼駅を核とする市街地は、両駅を中心として計画的なまちづくりを進め、両駅間を結ぶ都市軸上に位置する都市計画道路を中心とした、中心地区としての形成を進めていきます。中心地区の一角には市役所、消防署、公民館などの集積する行政ゾーンが位置し、市の中心部としての機能性を高めていきます。
  また、多摩の心の一角として位置づけられ、隣接の川崎市黒川地区等をも駅勢圏とする京王相模原線若葉台駅周辺は、中心地区に対する若葉台センター地区として整備、育成を進めていきます。JR南武線矢野口駅、南多摩駅、京王相模原線よみうりランド駅周辺及び向陽台センター地区、平尾センター地区及び三沢川右岸丘陵部に計画されている坂浜新駅(仮称)は、各生活圏域における生活拠点として育成します。中心地区、若葉台センター地区及び各生活拠点とは、都市軸、幹線道路及び生活道路で結びます。

3)緑の体系と水を活かしたまちづくり
  市域には、豊富な水と緑が残されています。水と緑は市民生活に安らぎとうるおいを与えてくれる、貴重な資源です。これらの貴重な資源を後世に伝えるため、まちづくりの中で活かします。
緑に囲まれたまちづくり
  市の周辺部は多摩川の緑地、多摩サービス補助施設、多摩ニュータウンの公園・緑地及び三沢川右岸丘陵地の緑地を結んでいる環状の緑が連担しています。また、市域内には公園、緑地及び梨畑や田畑などの緑地系の土地利用がされており、生活の中に緑が深く係わっています。これらの貴重な緑を活かし、市民生活に調和するまちづくりを進めていきます。
水を活かしたまちづくり
  市域の北側には多摩川の清らかな流れ、中央部には鯉や野鳥が見られる三沢川が流れています。また、多摩川から取水する豊富な用水路に恵まれています。この恵まれた貴重な資源である水を活かし、水と親しめるまちづくりを進めていきます。

(2)計画的なまちなみの形成

  特徴を活かした個性的で魅力あるまちなみを形成するため、まち全体として和のとれたまちなみを目指します。
景観に配慮したまちなみ
  四季おりおりの変化や歴史、文化をはだで感じ、いきいきした市民生活を実感できる、歩くだけでも楽しくなる美しいまちなみを目指します。また、特徴である緑や水をまちづくりの中に活かすとともに、歴史や文化を保存し、公共施設などの建築物のデザインに考慮した、均衡ある個性的で魅力的なまちなみの形成をめざします。
地域の個性を活かしたまちなみ
  歴史のある既存市街地や新しい多摩ニュータウン区域など、まちの発展過程の異なる地域など、それぞれの特徴を活かした個性あるまちなみを形成します。


骨格都市構造図


都市構造図

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