マガキ[真牡蠣] 学名 Crassostrea(属名) gigas(種小名) イタボガキ科の二枚貝。サハリン以南の日本各地および中国などに広く分布する。 その種類は約120種類。殻長約5〜8cm、殻高10〜35cm。形は岩礁への付着生活の ため一定していないが普通は不規則な長三角形をしている。付着する左殻が大きく膨らみを もち、右殻はやや小さく扁平している。殻の表面には板状になった成長脈があり、黄白色で紫色 の縞ができる。軟体の中央には大きな後閉殻筋(貝柱)があります。 雌雄同体であり卵生で、卵子と精子が交代してつくられる。内湾の潮間帯の岩礁に付着して プランクトンなどを食べる。産卵期は5〜8月。 和名由来 1.石から掻き落としてとることから、または殻を欠き砕いてとることから。 2.「カ」は貝、「キ」は着るの意。 3.キハカヒ(際貝)の反。 4.重なり貝の意。 5.「マ」は同類中で代表的なものを表す。どちらの性が強くても同じように生殖腺 が白いので、全て雄だと思われる「牡蠣」の字が当てられた。 別称/方言 1.カキ(混称) 2.ナガガキ 3.エゾガキ 外国名 giant Pacific oyster(英) 歴史・文化 カキは縄文期の日本人が食べた貝の中で、二番目に多かったといいます。 『延喜式』にも、伊勢からの貢物として「蠣および磯蠣」の記述があります。 近世前期には、三河尾張、伊勢、江戸などが産地として知られていました。 『本草網目』には「その肉を抉り取って食品に当てるが大へん益がある」とあります。 『魚鑑』も「その肉味ひ美」としています。 カキ類の養殖は世界各地で盛んに行われていますが、その歴史は古くヨーロッパでは紀元前 一世紀に遡ります。日本では1673年(延宝元年)に現在の広島県で小林五郎左衛門が アサリの漁場を囲っていた竹の枝にマガキが付着することにヒントを得て養殖を始めたのが 最初の記録となっています。 1923(大正12年)には、いかだを使った垂下養殖法が考案され養殖技術は著しく進歩 しました。ほかに「地まき式」、「ひび立て式」がありますが、今日ではこの「いかだ式垂下 養殖法」がほとんどとなっています。現在では、日本が世界で第二位の生産量となっています。 一般的には、養殖ものは味の点で天然ものに劣るといわれますがカキの場合は違います。 『日本山海名産図会』にも広島産の養殖カキを「もっとも名品とす」とあり天然ものは大きい が味はよくないとし、養殖ものに及ばないと記されています。 カキ類は古くから世界各国で賞賛され、魚介類を生で食べる習慣のないヨーロッパでも昔 から生で食べられていました。デンマークには新石器時代からの世界最大級の貝塚があり その大部分がカキの殻です。シーザーやナポレオンなど、歴史上の人物も好んで食べたと いわれています。 |
トップ |