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古事の森 - 樹齢四百年の巨木を育てる

法隆寺・薬師寺・東大寺 - 伝統的木造建造物のいのちを伝える

立松和平(語り)  横松桃子(絵)
A5変形判・120頁 11月20日発売 定価:1000円+税
 天から森へ、森から川へ、川から海へ、そして海は天に――長い長い時の流れの中でくりかえされてきた、このうるわしい自然のつながり。そこに生きつづけてきたもの、守られてきたもののひとつが、古いお寺や神社である。
 日本には、文化財として大切に守られている木の建物がたくさんある。しかし、古いお寺や神社の補修に使える大きな木が、国内にはほとんどなくなってしまった。「昭和の大修理」を行った法隆寺では、台湾に木材を求めたほどである。
 そうした伝統的木造建造物のいのちを残す木を育てる森を「古事の森」と名づけ、立松氏と林野庁が一緒になって活動を始めた。その最初の植樹が二〇〇二年四月に京都は鞍馬山で始まり、今後全国十ヵ所に広がる。植えた木は百年以上、ものによっては四百年、伐らない。つまり、「四百年不伐の森」となる。
 しかし、植樹は単純なものではない。土壌はもちろん、季節で変わる日差し、風向き、雨を考慮しなければならない。そうして育った森には、自然のつながりを考えているかのような多様な調整能力がある。それがあって自らも巨木に育つのだ。
 本書には、人から森へ、森から木の建物へ、木の建物から人の想いへ、そしてまた人から森へと、脈々と受け継がれるいのちの連鎖が描かれている。一方で、「森」を主役にすえながら、自然の循環、自然破壊のしくみも語り、環境教育の大切さを訴えてもいる。
 素朴に、木あるいは森の大切さを知ることができる本でもあり、環境教育の、いわば副読本として扱うこともできる。 文章はやさしく、立松氏の長女横松桃子さんが挿画を担当。たくさんの挿絵とふりがな付きの文章なので、小学校高学年から読める絵本になっている。

立松氏の「古事の森活動」を林野庁が支援。本書の売上収益金の一部も役立てられます。

 

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