当初のプロジェクトの概要

 

1.実施の理由

 障害を持つ児童生徒(とりわけ肢体不自由児)の場合は、公共交通機関がまだまだ利用することが難しい状況であり、健常児と比べて自動車を利用することが圧倒的に多いといえる。そのため公共交通機関を利用する子は少なく、都会に出たという子も少ない。そこで、その子達が外出するのを手助けするために、利用マップの作成を考えた。  また現在コンピュータとインターネットの教育利用が叫ばれているが、ハード・ソフトの両面に渡って整備が整わず、更にその必要性について先生間でのコンセンサスがとれていない。そこで、授業という枠にはまらずに利用していく中でこれらの有用性を示したいと考えた。そこで他校の生徒達とネットワークを通じてコミュニケーションが広がるもの、成果が形として残るもの、生徒達に達成感が感じられるものとして考えてみた。  現在地域の作業所などを中心に、地域密着型の「車椅子で利用できる店」の紹介をした冊子が作られているが、今回のプロジェクトでは車椅子だけではなく、種々の障害を持った人からの感想・意見を集めて、しかも大規模なものを作ってみたいと考えている。

2.目的

○ インターネットの身近な利用を生徒達に考えさせる。
○ インターネットを利用して他校の生徒達と共同でプロジェクトを持つ。
○ 生徒たちが公共交通機関や都会のことについて注意を払うことが出来るようになる。
○ 子ども達の活動を進めていく中で、周りの先生達の関心を高めていく。
○ 「障害を持つ人から見た大阪マップ」を作成する。
○ マップの制作を機に街へ出る機会が増える。障害を持つ人たちが出やすい環境を整える。

3.期待される効果

○ 生徒たちがインターネット・コンピュータは難しいものでなく、誰でも簡単に使えるものだと考え、積極的に利用できるようになる。
○ 生徒たちがネットワークの利点と怖い点などについて、体験を通して知ることができる。
○ 外で集まって会議をすることが難しい生徒たちが、大規模な共同作業をネットワークを利用して出来る楽しさとを知ることができる。
○ 障害を持つ人が、社会に出ていく妨げになっているものの一つとして、公共交通機関の利用の難しさを知り、どうすればよいか考えていける。
○ 情報を集めていく過程で、生徒たちが公共交通機関や店などに行く機会が増える。
○ 先生たちの関心が高まり、学校でのインターネット・パソコン利用が促進される。
○ 「障害を持つ人から見た大阪マップ」の作成により、障害を持つ人及び高齢のため車椅子での生活をしている人や介助者にとって、外出するときの助けとなる。

4.活動内容

○ 生徒を指導する先生へのパソコン・インターネットに関する研修会
○ 生徒たちが、公共交通機関や店、観光・レジャー地について感想をまとめる
○ Web上で他校のを見て、自分が知りたいことは何かを確認し、メールをその人とWebマスターに送る、とともに自分の分についても修正をする。
○ Webマスターが、集まったことを基に統一した形式を決定し、メールで連絡する。
○ 生徒たちが、その場へ一人または家族で行った時にそれらの場所について調べる。
○ Web上に調べた結果をあげていくとともに、掲示板やChatを利用して学校間のコミュニケーションを図る。
○ Web上で「障害を持つ人から見た大阪マップ」を作成すると共に、冊子化もする。
○ 参加校は、公共交通機関を考慮に入れて、6校を予定(現在3校、他は募集中)
○ 実施期間については、生徒たちの外へ出ることの少なさやまとめていくことの困難さ、及び役立つ冊子として仕上げていく必要性から、2年間とする。

5. システムの概要
○ 養護教育諸学校6校が参加し、ノートパソコンとPHSなどを利用して普通教室からインターネットに接続できるようにする。(6校については、地域が散らばるよう配慮する)接続の方法については、普通教室まで電話線が来ていないことを考慮し、ワイヤレスTAや無線LAN、PHSなどを利用し、配線をすることなく無線でインターネットに接続出来る状況をつくる。
○ 中心となる学校にサーバーを置き、Web・Mail・Chat・Ftpなどが出来るようにする。そのサーバーは専用線接続され、他校からいつでもアクセスできる環境にする。単にマップをつくるだけでなく、掲示板やChatを利用し、生徒どうしのコミュニケーションが広がるようにする。

6. 実施体制

○ 企画・立案・調整及び、サーバーの管理等は茨木養護学校の丹羽が行う。
○ 6つの養護学校から一人、若しくは複数の先生が参加し、研修や会議を行いながら細かい調整等を行う。予算との関係で参加は6校とするが、希望があり予算的に対応できれば追参加を認めるようにする。
○ 代表者の兵庫教育大学教授の成田 滋教授より、技術的なことや米国などの使用例を参考にして生徒の指導につながるアドバイスを受ける。

取り組みの経過報告